
【島フリーランス紹介:田中良洋さん】「島にはたくさんのチャンスがある」Iターン&マルチスキルで活躍
フリーランスとして、好きな場所で自由に働く。そんな理想の働き方を、奄美大島で実現する人が増えています。奄美市では『フリーランスが最も働きやすい島化計画』を推進し、多くの人がこの地で新たなチャレンジを始めています。
仕事だけでなく、「島ならではの暮らし」を大切に両立して生きる。そんな「島フリーランス」を紹介していきます。
田中良洋(たなか・よしひろ)さんは、映像制作やカメラマン、Webライター、SNS運用代行、観光ガイドなど幅広く活動するIターンの島フリーランス。奄美に移住した経緯や、フリーランスとしての働き方についてお聞きしました。
「やりたいことを仕事にしたい」奄美への移住のきっかけ
田中良洋さんは1986年生まれ、兵庫県西宮市出身。神戸大学経営学部を卒業後、2009年4月に東京のITベンチャー企業に就職し、ITコンサルタントとして勤務。その後、2013年に独立し、プロポーズプランナーとして結婚式の企画運営を開始しました。
「やりたいことを仕事にしたい」と独立したものの、食べていくのは簡単ではありませんでした。
派遣の仕事やパチンコの映像編集をしながら何とか生活を続けていましたが、ストレスが原因で目の病気を患い、左目の視界が白くぼやける状態に。幸い治療により回復しましたが、これをきっかけに「人生を見つめ直そう」と考えました。
ベッドで横たわりながら、何をしたいのか自分に問いかけたときに浮かんだのが
『島に住みたい』
という想いでした。
以前から南の島に興味があった田中さんは、ネットで移住の方法を探していたところ、大学生向けの「島おこしインターンシップ」というプログラムを発見。当時29歳でしたが、大学生に混じって応募し、観光で訪れたことのある与論島を選びました。
与論島では商工観光課でインターンとして働き、イベント運営などを手伝うことに。
「1ヶ月半の滞在で、島の広い空、自然と共に生きる島の人々のかっこよさ、島ごとに異なる文化の面白さに惹かれました。いつか島に関わる仕事をしたいと考えるようになりました。」
その後、インターンシップを運営していた会社が奄美大島に大学受験向けの予備校を開設し、人手を募集していることを知ります。大学時代に個別指導塾でアルバイトをしていた経験があった田中さんは、2016年に奄美を視察。生活できそうだと判断し、2017年に移住を決意しました。
奄美での暮らしとフリーランスの仕事
移住後は、予備校のスタッフとして働きながら、Webライターやドローン撮影の仕事を開始。そこからカメラマン、映像制作、SNS運用代行、観光ガイド、家庭教師などへと仕事の幅を広げていきました。
「大変だったことはほとんどありませんでした。奄美大島の中心地に住んでいたので、台風でも停電することは少なく、Amazonの商品もすぐ届く。意外と便利なんです。」
一方で、島ならではの課題もありました。例えば、友人の結婚式に出席する際の出費の大きさ。交通費や宿泊費、ご祝儀などを合わせると10万円以上かかることも。また、知人価格で仕事を引き受けることで収益バランスを取るのが難しいこともありました。
それでも、「自由に時間を使えることがフリーランスの最大の魅力」と田中さんは話します。
「天気が良ければ海に行く、自分の好きなタイミングで仕事をする。そんな働き方ができるのが奄美の良さです。」
さらに活動の幅を広げるため、2021年11月には「株式会社ステキカク」を設立。個人のフリーランスとしてだけでなく、法人としても、より多くの人と連携しながら仕事を進める体制を整えました。
フリーランス寺子屋との出会いと活用
田中さんは、奄美市が推進する「フリーランスが最も働きやすい島化計画」の一環として開講された「奄美市フリーランス寺子屋」を受講。WebライティングやSNS運用のスキルを学びました。
「受講後に実際の仕事を提供してくれるのがすごいと思いました。知識だけでなく、実践の場と報酬を得られるのが、他の講座とは違うところです。」
その後、自らもフリーランス寺子屋の講師を務めるなど、培ったスキルを活かして後進のサポートにも関わるようになりました。
(2021年10月 奄美市フリーランス寺子屋「すべては企画からはじまる。魅力的なアイデアづくりとライティング講座」の様子)
奄美市ではこれまでフリーランス寺子屋を通じた学びの機会を提供してきました。こうした取り組みを活用することで、田中さんのように島で新たなキャリアを築くことが可能になります。
島でフリーランスとして働く魅力と課題
◎良い点
- 時間を自由に使える:「今日は絶好の海日和だから出かけたい!」と思ったら、仕事をコントロールできるのがフリーランスの強み。
- 仕事とプライベートの境界が柔軟:仕事のお客さんが友人になったり、その逆もあったりと、人とのつながりが広がる。
◎課題
- 単価の設定が難しい:知人価格で仕事を引き受けることが多く、やりすぎると自分が疲弊してしまう。
- スキル向上の機会が少ない:島では人手が足りないため、仕事を得ることはできても、スキルアップは別問題。積極的に外部の情報をインプットする必要がある。
今後の目標と、島でフリーランスを目指す人へのアドバイス
田中さんは今後も、映像や写真、文章を通じて島の魅力を伝え続けたいと考えています。また、社会問題や環境問題にも関心があり、自分なりに貢献できる活動を増やしたいと話します。
「島にはたくさんのチャンスがあります。最初から『これをやる!』と決めず、1年くらいじっくり島の人と関わりながら、自分のスキルをどこに活かせるか考えるのが大切です。」
また、フリーランスを目指す人に向けて、次のようなアドバイスもくれました。
「どんなに小さいことでもいいので、自分のスキルでお金をもらう経験を早めにすること。 フリーランスとして成功するには、スキルだけでなく、どうやって仕事につなげるかが重要です。」
奄美の豊かな自然と温かい人々に囲まれながら、新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
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